隠し剣 鬼の爪

実直な下級武士である片桐宗蔵は、公私ともにアンバランスな状態に陥っている。宗蔵は家政婦のきえに密かに恋をしており、交際は不可能と知りつつも、きえとの不穏な求愛を始める。武士道と伝統を重んじながら育った宗蔵は、将来を見据えることを余儀なくされる。そんな中、宗蔵は西洋の軍事戦略、特に砲術を習得するよう命じられ、かつての友人で侍、そして優れた剣士である弥一郎を探し出し、殺害することになる。火力だけでは弥一郎に勝てない宗蔵は、かつての師であり、剣の達人である戸田寛斎の力を借り、宗蔵に「隠し剣」の秘伝と力を託す。