野口久光は、栃木県宇都宮市出身の日本の映画、ジャズ、音楽評論家である。画家、グラフィックデザイナーでもあった。生涯に描いた映画ポスターは1000枚を超えるといわれている。1933年、東京美術学校工芸部デザイン科を卒業。
1933年11月、ヨーロッパ映画の輸入・配給会社である東和商事合資会社の映画部兼デザイン部に入社する。デモテープではなく、デモポスターを持ち込み、試験も受けずに入社した
1942年、太平洋戦争の影響で東和商事が解散したため、中国電影に移籍し、上海へ。上海では、映画ポスターのデザインのほか、音楽評論の仕事もしていた。
1946年、上海から撤退し、東宝写真館を経て、新東宝の映画プロデューサーとなる。大學の門」「エノケンの飛脚」「東京のヒロイン」など6本の映画を発表。
1951年、新設された東宝映画株式会社に入社。1951年、新設の東宝映画宣伝部に入社。戦後のヨーロッパ映画の名作ポスターを数多く描いた。特に、1960年に日本で公開された『大人は判ってくれない』のポスターは、フランソワ・トリュフォー監督に絶賛された。このポスターを終生愛したトリュフォーは、1984年に亡くなるまで、そのオリジナルを額に入れて制作事務所に大切に飾っていた。
1978年、長年の文化活動が評価され、紫綬褒章を受章。1983年、勲四等旭日小綬章を受章。また、日本とアメリカのジャズやミュージカルの架け橋としての貢献が認められ、ルイジアナ州ニューオリンズおよびクローリー市の名誉市民に選出された。
1994年6月13日、84歳で死去。