ムン・イェボンは北朝鮮の女優である。父であるムン・スイルと共に劇団で演技を始める。13歳で初舞台を踏む。その後も劇団で活動し、1932年に映画女優としてデビューする。
イ・ギュファン監督の『持ち主のいない船』に船頭の娘役で出演した。そして1935年、初のトーキー映画「春香伝」で「チュンヒャン」役を引き受け、当時のトップスターに上り詰めた。1935年のホン・ゲミョン監督作品「アリラン峠」では、ムン・イェボンとノ・ジェシンが主役を演じた。映画は、頑固な貴族の家に生まれたアランが、幼い頃に一緒に育った使用人の息子チルソンと恋に落ちるまでの苦労を描いたものだ。面白いのは、アランをノ・ジェシンが演じ、チルソンをムン・イェボンが演じていることだ。二人の女優が男女の主人公を演じたのである。
そして、1937年の「旅人」でムン・イェボンの人気はさらに盤石なものとなった。しかし、1939年に映画登録制度が実施されると映画女優として登録し、1940年に朝鮮映画条例が施行されると、侵略戦争を美化したプロパガンダ映画に出演し続けた。
解放後は朝鮮映画同盟の中央執行委員に選出されるなど、左翼的な活動を行った。1948年、北朝鮮に亡命。1949年、北朝鮮初の長編映画として姜宏植（カン・ホンシク）監督の『わが故郷』に出演した。
1999年3月26日に死去。平壌の愛国烈士墓地に埋葬されている。
(出典：KMDb)
