この作品は、テレビ局のクルーが、無線を盗み聞きするのが趣味のオタクにインタビューを申し込んだことから始まる、悲惨な出来事の連鎖を描いた経済的かつ不穏なスリラーである。リアリティ番組の手法に対する微妙な批判と、メディアの力に対する警鐘を鳴らすこの作品は、低予算を逆手に取り、手持ちカメラのテクニックを巧みに使って視聴者をアクションに巻き込んでいく。メディアの無責任というテーマは、『フレーム』でも中心的な位置を占めている。この作品は、怪しげな方法でニュースに傾斜をつけるテレビ編集者を描き、彼女の番組で有罪が暗示された殺人容疑者に取り憑かれるという、手に汗握る内容になっている。Focus』に比べて撮影はありきたりだが、この知的で冷静な映画は、メディアの役割について重要な問題を提起しながらも、簡単な答えを提供することを拒んでいる。これに関連して、『Doubles』(Daburusu、2001年)は、技術の犯罪的可能性を調査し、コンサルタント会社に対して、会社から解雇された鍵屋とコンピュータのエースが行った強盗事件を描いたものである。
メディアやテクノロジーへの関心とは裏腹に、これらの映画は本質的に人物に関わるものであった。浅野忠信の神経質な演技は『フォーカス』の複雑な物語に説得力を与え、『フレーム』の複雑さの多くは、主演の黒木瞳が男社会の中でもがく女性のフラストレーションをうまく表現したことに由来している。刑事リコー』(1998年)のヒロインもまた、伝統的に男性の職業に就く女性であった。
(出典:『日本映画監督批評ハンドブック』)。