Gosho Heinosuke

五所平之助

性別: 男性
生年月日: 2002年1月24日

固有名詞: 五所平之助

出生時の名前: Heinosuke Gosho

国籍: 日本の俳優

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五所平之助 について

松竹で島津保次郎の助手を務めた後、松民劇を専門にした名手である。20代の作品はすべて失われているが、『村の花嫁』(1928)、『からくり娘』(1927)などのメロドラマは、病気や心身の障害をテーマにしているようである。30年代の作品には、同じようなペーソスが見て取れるものがある。伊豆の踊子』(1933)は、川端康成の小説をもとにした静かなサイレント・ロマンスで、学生たちと旅回りの女優の恋愛を描き、クライマックスの別れのシーンは感動的であった。また、『人生の鬼門』(1935年)では、父に捨てられた少年の悲哀を描いたリアリズムドラマが印象的であった。
しかし、音響時代初期の監督の作品は、もっと明るいトーンのものが多かった。日本初の本格的なサウンド・オン・フィルム作品『隣の奥さんと私』(1931)は、さまざまな音に気を取られる作家を描いた楽しい喜劇で、筋は単純だが、御所はこの新しいメディアを創造性と機知をもって利用することができた。この作品と、その後の『花嫁の寝言』(1933年)、『花婿の寝言』(1935年)は、スラップスティックと現代風俗の風刺のバランスがとれたコメディ作品であった。御所は間もなく、ユーモアと悲哀の間の緊張感と、表現豊かな編集パターンで、「他の監督が1ショットで撮るところを3ショットで撮る監督」と呼ばれるようになった。
戦時中の作品では軍国主義的な内容を極力排除し、戦後は『今ひとたびの』で30年代の自由主義者の苦境をメロドラマ的に表現した。戦後は、社会批評と個人的なドラマを組み合わせた作品を発表している。代表作の『煙突の見える場所』(1953年)は、やや露骨な象徴描写が目立つものの、戦争から立ち直った日本における願望と絶望のバランスを描いた模範的な作品であった。散雲』(1951年)は、わがままな女性が休暇で訪れた長野の田舎で、貧しい人々や病人の苦しみを目の当たりにし、成熟していく様子を描いた感動的な映画である。また、『黄色いカラス』(1957)は、鎌倉で美しいカラー撮影が行われ、中国から引き揚げたばかりの父親と少年の苦い関係を描いた作品で、最も印象的であった。
30年代から50年代にかけての御所作品は、ペーソスが多いにもかかわらず、比較的楽観的な世界観を持っていた。小津の家族ドラマが家族の崩壊で終わることが多かったのに対し、『人生の重荷』『煙突の見えるところ』『黄色いカラス』は家族の再会で終わり、『隣家の女房と私』『もういちど』『ある夜二度』(1956)では喧嘩や政情で別れた夫婦が和解、再会している。煙突の見えるところ』『鶏は二度啼く』(1954)では、登場人物が自殺を試みたり、考えたりしながらも、最後には生きようと決意する。御所の理想は寛容、妥協、合理性であり、彼の映画にはたいてい進歩への信頼が表れている。また、『もう一度』と『雲をくぐって』の主人公が医師であることは重要である。御所は医師の仕事を戦後の日本社会の再生と結びつけており、両作品ともヒロインは看護を通して道徳性を獲得しているのである。
しかし、50年代半ばから、御所の作品はより暗いトーンになり始める。大阪の宿』(1954年)は、日本の商業都市にある旅館を社会の縮図として、戦後日本の物質主義的価値観や格差の拡大を攻撃したものである。また、『たけくらべ』(1955)は、明治時代を舞台にしながらも、社会批判的な作品であり、人間的な感情を圧倒する純粋な商業観念を非難している。両作品とも、売春婦になるしかない女性たちが登場する。ある夜、二度』は、最終的な和解にもかかわらず、経済的な優先順位によって家族関係が腐敗していく様を描いている。海岸沿いの小さな町を舞台にした「鶏は二度鳴く」は、石油を掘る作業員が温泉を掘り当てたが、町に繁栄をもたらす発見にもかかわらず、わずかな報酬しか得られないという労働者階級の不公平な境遇に触れたブラックコメディーである。
このほかにも、御所は不幸な恋愛を題材にした作品を発表している。早春の北海道の港町を舞台にした『北のエレジー』(1957)、シャブロルやファスビンダーを彷彿とさせるメロドラマ『猟銃』(1961)は、不倫がもたらす不幸と疑惑を描いた作品で、いずれも自殺という結末を迎えている。娼婦は呪われていると信じられ、神道のお祓いを受けている間に死んでしまう。ここで御所は、迷信を30年代の軍国主義に拍車をかけた広範な不合理性と結びつけている。軍国主義の狂信は、人間関係に及ぼす腐食の影響とともに、彼の最後の大作『日本の反乱』(Utage、1967年)の主題でもあった。
御所は探究心のあるドラマティストであると同時に、知的な映像スタイリストでもあった。重要な細部を強調し、人物のニュアンスや環境の特殊性を明らかにするために、モンタージュに基づく繊細な技法を用いている。彼の作品は、アーサー・ノレッティの言葉を借りれば、「登場人物に対する思いやりと愛情」、「人生の不公平、矛盾、複雑さに対する確かな感覚」によって際立っていたのである。この複雑な感覚と、簡単な答えを避けることが相まって、御所の作品には驚くべき豊かさと深みがあった。また、「同胞を愛してこそ、人は創造できる」という彼のヒューマニズムが、その痛快さを生んでいた。

(出典:『日本映画監督批評ハンドブック』)。

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