10歳の茂樹は、初めて自分の部屋を持った。その部屋から、丘の上の大きな家に住む少女を見る。茂樹は一瞬にしてその少女に恋をしてしまった。彼女の名前は弥生。茂樹は父親の助けを借りて望遠鏡を購入し、彼女を観察し始める。しかし、しばらくして、茂樹は引っ越しを余儀なくされる。茂樹は弥生にラブレターを書き、彼女のポストに投函して町を後にした。茂樹は大人になった今も、弥生を見つめ続けている。
ある夜、弥生を眺めていると、彼女の部屋に男が現れる。男が弥生にキスをしているのを見て、茂樹は気が狂う。そして、弥生を愛しているわけでもないのに、美咲という女性と結婚する。しかし、2人の間には息子が生まれ、幸せに暮らしていた。弥生が結婚し、娘を授かったのと同じように。
それでも茂樹は弥生を見続けていた。50歳になった茂樹は、長年目を酷使してきたため、目が弱っていた。視界は曇り、望遠鏡を覗くことすらままならなくなる。ある日、彼のもとに箱いっぱいのノートが届く。それは、弥生がつけていた日記だった。