東京の合唱

岡島信二は、保険代理店をしており、就職難の時代にもかかわらず、そこそこの給料をもらっている。ボーナスがもうすぐ出るので、家族に少しばかり贅沢をしようと思い、幼い息子とずっと約束していた自転車を目玉商品としてプレゼントする。ところが、ボーナス支給日に親友の同僚が不当解雇され、事態はさらに複雑化する。岡島は彼のために上司に立ち向かったが、彼が言い過ぎたために、二人とも職を失うことになる。小津安二郎監督によるサイレント時代の作品で、不況下の日本、そして安定した収入を求める家族の苦悩が描かれている。主演の岡田時彦は出演後間もなく結核で亡くなったが、その遺作となった。