銀行員の笠井健三と和子夫妻の生活は、地方から地方へ、アパートからアパートへと転勤の連続であった。退職後、ようやく「自分たちの家」を購入し、幸せな安定した生活が始まった。そんなある日、和子は脳梗塞で倒れてしまう。
リハビリを終え、ようやく退院したが、家には帰らず、介護施設に入所することになる。健三は毎日面会に訪れ、愛情を込めて看病するが、「いつか家に帰りたい」という彼女の願いを叶えることなく、和子はこの世を去ってしまう。数ヵ月後、誰もいない家で一人、健三はようやく遺品の整理を始める。妻との思い出が詰まった品々を前に、健三は悲しみに暮れる。そんな時、妻の言葉を思い出す…。
古いものや壊れたものを捨てるときは、『ありがとう』と『さようなら』を言えばいいんだよ」。
その通りである。健三は、ひとつひとつの品物に「ありがとう」と言いながら、前に進み始める……。
(出典:日活)
~~ 原作:川崎敬一「カンシャリ〜永遠にともに〜」。