高津川

学は、生まれ育った島根県の山の上で牧場を営んでいる。彼の町には、歌舞伎の起源といわれる「神楽」という踊りがある。年に一度の祭りで、地元の10代の若者がデビューする。この踊りは、地域の誇りでもある。息子の達也は今年、祭りでデビューするはずだったが、神楽の練習をサボっている。多くの若者がそうであるように、息子も地元を離れていくのではと心配するマナブ。そんな中、町は少子化を理由に、彼の卒業した小学校の廃校を決定する。若者の都市部への流出による人口減少は、この地域の大きな問題の一つである。その結果、神楽だけでなく、この地域特有の多くの伝統や工芸の継承が危機的な状況に陥っている。人口流出に歯止めがかからない地域の中で、清流のように清らかな伝統を守りながら、ひたむきに生きようとする人々の物語である。