第二次世界大戦後、全財産を失った日本の小貴族一家。一家は3人。和子とその弟の直治、そして母親の3人である。直治は南太平洋の兵士で、小説の冒頭の大部分は不在である。和子は以前一度結婚していたが、離婚している。
古い家では、和子の母親が配給された食料を食べている。和子は、蛇の卵を毒蛇の卵だと思って焼こうとしたときのことを思い出す。和子の父が亡くなった時、たくさんの蛇がいたことが明かされる。そのため、母親の目には蛇が不吉なものに映った。和子が卵を燃やしたときのことを思い出した母は、自分の胸の中で蛇が育っているような気がしていることを明かす。
やがて一家は田舎に移り住む。和子は畑で働き始める。彼女は「粗暴な女」に成長していると言う。やがて直治が帰ってくる。アヘンにおぼれ、母や妹にひどい仕打ちをする。そして、毎晩のように酒を飲みに出かける。和子は、直治が麻薬中毒になったときに書いた「月光日記」を見つける。そこには、世間に対する不平不満や、人は必ず嘘をつくということが、何ページにもわたって書かれていた。
~原作は太宰治の1947年の小説「斜陽」。