1957.フィリピンの偉大なボードビル、エルナンド・アラマダは、元社会主義者の幹部として、クルーズ船メイフラワー号で公演ツアーの最終行程をこなしている。彼は、フィリピンが再び苦い転換期を迎えていることを知っていた。人気のあった大統領ラモン・マグサイサイが突然飛行機事故で亡くなってしまったのだ。貧困にあえぐバリオにたどり着いた彼は、国の現状と未来に大きな重圧を感じると同時に、個人的にも深い葛藤を抱えることになる。そして、彼はあてのない旅を続ける。フィリピンの「ボダビル」のように、彼は不条理劇場の門をくぐり、バーレスク、狂気、厳しい現実へと降りていき、最後には自分自身の救済へと昇っていくのである。
(出典:Lav Diaz)