天才探偵ミタライ～難解事件ファイル「傘を折る女」～

天才脳科学者にして名探偵・御手洗潔。作家の石岡和木は親友だ。ある日、石岡はラジオで聞いた謎を御手洗に話し始める。それは、ある日リスナーが目撃したものだった。白いワンピースを着た髪の長い女性が、降りしきる雨の中を傘をさして歩いていた。手には小さなビニール袋を持ち、交差点に立っている。しかし、その女性は信号が青になっても歩道を渡る気配がない。信号が変わろうとしたとき、傘を路上に置き、塀の陰に隠れた。車が通らないので、道の真ん中に置いた。ついに車が傘をひいたとき、女性は折りたたみ傘を拾い上げ、雨の中を去っていった。石岡は、御手洗が好きそうな不思議な雰囲気の話をすることができ、喜んでいる。しかし、御手洗は女の不可解な行動を瞬時に見抜き、この女が歩いた場所の近くで非常に血生臭い殺人が行われたはずだと、絶対的な確信を持って言う。そして、自分の仮説を証明するために、夜遅くにもかかわらず、その殺人事件のことを警察に連絡するのであった。すると翌朝、御手洗の仮説通り、死体の第一発見者から警察に連絡が入る。御手洗と石岡は、警察とともに現場検証を行う。御手洗の仮説通り、現場であるアパートの中には刺殺された老人の死体が横たわっていた。しかし、それだけではない。御手洗が犯人と見なした白いドレスの女の死体もアパートの別室にあったのだ。