1997年11月、日本の四大証券の一つである山一證券が自主廃業を発表した。その直前まで、約2600億円の簿外債務があることを上層部ですら知らされていなかった。簿外債務は法律違反である。山一證券は大きすぎて、財務体質も銀行の支援もないため、財務省は破産法の適用を申請せず、証券会社の「自主廃業」を求めると判断したのである。2,600億円のバランスシート外の損失は、いつ、どのようにして発生し、どのように隠されていたのか。取締役会までもが沈没船から救済される中、最後まで会社に残り、顧客に金を払いながら真実を追求し続けた社員がいた。社内で「はみ出し者」と呼ばれ、お荷物扱いされていた部署の人たちである。この人たちは後方支援者であった。
~~ 清武英利著「しんがり-山一證券西郷の事件簿」(ノンフィクション)より引用