失われた夢と才能、そして映画産業におけるインフラストラクチャーの欠如がもたらす代償を描いた衝撃的な作品。無一文の映画監督イ・ドンウは、ソウルの鍾路(チョンノ)地区の路上でお金を探している男に声をかけられる。この偶然の出会いが、彼の2作目となる『セルフポートレート2020』の制作を始めるきっかけとなる。ホームレス、アルコール依存症、双極性障害、そして何よりも20年前に短編映画『セルフポートレート2000』で国際映画祭で成功を収めた映画監督である。それ以来、彼の人生とキャリアは悪化の一途をたどり、妻と娘には去られ、次回作の制作計画は延期され続けている。
ドンウは予測不可能な新しい友人との不安定な共同作業に乗り出すが、やがて彼の描く対象はタプコル公園周辺のホームレス社会だけでなく、彼自身にも広がり、サンヨルの中に未来の自分との対決を見いだし始めるのだった。
(出典: IFFR)