江戸時代中期の京都で、豪商から絵師に転身した伊藤若冲の成長を描く。友人であり師匠でもある禅僧で歌人の大典兼定に慕われ、支援を受けている。そんな若冲の人脈と地位をうらやむのが、町のおもちゃ屋に勤める見習い絵師・岩次郎。若冲のような恵まれた環境にない岩次郎は、いつか若冲を打ち負かすことを誓う。また、水墨画を得意とする池野大雅とその妻・玉瀾も、二人の前に立ちはだかる。そして、書家であり詩人、煎茶道の創始者である梅棹の名言に導かれながら。彼らは、江戸時代の京都の歴史と芸術の雰囲気を、美しく、豊かに、生き生きとしたものにしている、ほんの一握りの個性である。
(出典:アースカラー)