パコと魔法の絵本

パコと魔法の絵本」では、気難しい老人、奥貫が取締役会の最中に倒れ、病院送りになってしまう。彼は、ピットブルのような性格で、零細な商店から大企業に会社を成長させた。病院では、奥貫は周囲に気後れしてしまう。女装した男、自殺願望のある元子役、謎の銃弾で撃たれた傷だらけの男など、登場人物はさまざまだ。そんな彼が出会ったのは、若き日のパコ。元気な少女は、奥貫に自分の好きな絵本を読んでほしいと頼む。最初は拒否していた奥貫だが、何度も催促され、ついに承諾する。しかし、奥貫はパコが重度の短期記憶障害に陥っていることを知らない。交通事故で両親を亡くしたパコは、新しい記憶を1日しか持つことができないのだ。
翌日、奥貫はパコと出会うが、パコは奥貫に気づかない。パコは再び奥貫に絵本の読み聞かせを頼むが、奥貫は子供のいたずらだと思い、激怒する。奥貫が盗んだと勘違いしたパコがライターを取り出すと、さらに激怒してパコの顔を殴りつける。
翌日、奥貫はパコと再会するが、またしてもパコは奥貫に気づかない。その時、奥貫はあの少女がいたずらをしていたのではないと気づき、生まれて初めて罪悪感を抱く。しかし、もう遅いのだろうか？