夜の海辺で一人

既婚男性との不倫を経て、女優としての地位を確立したヨンヒは、しばらく休養をとることにした。彼女は遠く離れた異国の地、ハンブルクへ旅立つ。友人との会話の中で、彼女は恋人が自分についてくるのか、自分が恋しいのと同じくらい、彼も自分に恋しがっているのか、と自問する。冬の公園や川岸を長い間歩きながら、彼女は自分の気持ちや欲望をはっきりさせようとする。ホン・サンス監督作品に共通するテーマは、人生における愛の意味を問うことだが、その答えはいつも私たちの手からこぼれ落ちてしまうように見える。韓国に戻ったヨンヒは、海岸沿いの町、江陵で古い友人たちに出会う。彼らは一緒に食事をし、酒を飲む。サンスー監督の作品ではよくあることだが、韓国の国民的酒である焼酎が重要な役割を担っている。ヨンヒは酒に酔って他の人々を挑発し、侮辱し、怒らせている。彼らの会話はどんどん脱線していき、些細なことから大きなことまで、現実と真実に触れることになる。その後、ヨンヒは人気のないビーチに逃げ込む。彼女は自然の中でしか自分を見いだせないようだ。