想影

栄大輔はいつもアーミーナイフを持ち歩き、果物の皮をむくのが得意だった。栄が農家の一人娘と結婚したという話を友人たちは聞いていた。 幼なじみの中村由美の胸には、中高時代の思い出が去来する。同時に、栄に伝えきれずに後悔していることもある。10年の歳月を経て過去の想いと向き合い、時の流れが彼女の人生をある行動へと導いていく。