一にも二にもならない」–個人は同じではないが、違うものでもない、という意味の仏教の信条である。それは同時に、この映画『Not One and Not Two』が問いかけていることでもある。前半は、不治の病で死期が迫った男、ヨンモクの日常が描かれている。彼は毎日、瞑想と108回で心を鍛え、死ぬまでに悟りを開きたいと考えている。しかし、時折、日常に亀裂が入る。幽霊なのか死なのかわからない人影が、彼に近づき始める。後半は、新作の準備に奮闘する画家ジウの時間が収録されている。彼女はなぜかアニメーションの仕事を避けている。現在、ジウの悩みの種は物語の結末と死である。また、日常生活にも穴があいており、作品によってなんとか立ち向かおうとしている。ヨンモクとジウは同じ家に住んでいるが、所属する時間帯が違うためお互いのことは知らない。二つの時空が混ざり合い、交差し、影響し合う瞬間を感覚的に描き、「悟り」という甘美な言葉を体現しようとする。一見、観念的な物語のように思えるが、カットという最も基本的な映画素材のアレンジによって対象に迫ろうとする作品である。
(出典: BIFF; Reversemedia)