人魚姫の母

郵便局で働くナヨンは、情けないほど優柔不断な母親と、優しすぎる父親にうんざりしている。そんな彼女の唯一の楽しみは、数日後に迫った海外旅行。しかしある日、父親が何の連絡もなく家を出て行ってしまう。母は父がどうなってもいいのか、探そうともしない。仕方なくナヨンは夢の海外旅行をあきらめ、父親を探すことにする。両親の故郷に着いたナヨンは、夢の中でも思いもよらない人物に出会って衝撃を受ける。
ナヨンの前に現れたのは、ナヨンにそっくりな20歳の母ヨンスンだった。ナヨンが陥った世界は、30年前に母が生きていた時間と場所だった。ヨンスンは、未来の娘であるナヨンを友人と思い、とても親切に接する。ナヨンは、数年後の母の姿とはまったく違う、純粋無垢な姿に衝撃を受ける。偶然にもそこで母ヨンスンと暮らすことになったナヨンは、やがて母が若い郵便配達員に片思いしていることを知る。キラキラした目で自転車に乗るその郵便配達員は、彼女の父親、キム・ジヌクだった。
この不思議な世界に入り込んだナヨンは、父と母の間で繰り広げられる愛の渦中に巻き込まれていく。