1969年5月13日、東京大学の学生1000人が三島由紀夫を待ち受けていた。講堂の空気は緊張に張りつめている。右翼民族派作家の三島による過激な運動に属する学生を扇動する招待状は、革命への挑戦状だった。当時、学生たちは、過激派による暗殺に備え、三島の私兵が講堂に潜入していることなど知る由もない。当時は「政治の季節」であり、両者の討論はその激烈な時代のピークとして長く語られた。三島。最後のディベート」は、50年後に発見されたTBSのフィルム映像を復元・再構成した作品である。極端な違いを持ちながらも、互いへの敬意を失わない2体の対決は、なかなか見ることができない。
(出典:BIFF)