物語の舞台は宋の時代、そして女真族を支配する晋の中国北部への侵攻が始まる頃である。小説の前半は、楊鉄心と郭小天という二人の男の友情を中心に展開する。彼らは、金の侵略者と戦ううちに、自らも英雄となった。二人の絆は強く、生まれてくる子供を、同性の場合は義兄弟に、異性の場合は夫婦にすることを互いに誓い合う。
物語は、郭小天の死と楊鉄心の失踪後、彼らの息子たちの試練を中心に描かれている。郭小天の息子、郭靖はモンゴルでチンギス・ハーンの世話になりながら育つ。彼は「江南七奇」と全真宗の馬禹から武術を、またジェベから弓術を学ぶ。小説の中国語のタイトルは、郭靖の思春期に、空で二羽の鷲を一本の矢で射落とした事件に由来している。一方、楊鉄心の息子、楊康は、晋の時代、女真族の王子の子として育つ。彼は全真宗の秋楚の指導を受けるが、同時に梅兆峰から邪悪な「九陰白骨の爪」を密かに伝授される。
少年たちの性格は、育った環境の違いから大きく異なっている。郭靖は正直で忠誠心が強く、正義感が強いが、頭の回転が鈍い。逆にヤン・カンは利口だが、策士で裏切り者だ。そんな二人がやがて出会い、それぞれの恋人である黄龍と穆尼慈に出会う。本筋は、郭靖と黄龍の冒険と五大貴族との出会いを描いている。一方、ヤン・カンは自分の故郷である宋を征服しようとジュルチェン族と策略をめぐらす。楊康は漢民族であることを認めず、富と名声と栄光を手に入れることに強い執念を燃やしている。彼の裏切りは、主人公たちとの出会いの中で、小説の中で徐々に明かされていく。
郭靖の協力でモンゴル軍は金王朝を征服し、その後、宋王朝に目を向ける。郭靖は故郷を襲うモンゴル軍に協力することを望まず、モンゴルを離れる。郭靖は宋に戻り、漢民族の仲間を助けてモンゴルの侵攻に対抗する。一方、楊康は黄龍を掌で殺そうとしたが、毒で汚れた棘のある軟甲に当たってしまい、毒死してしまう。郭靖が「楊国」と名づけたムー・ニアンチと生まれて間もない息子を残して。一方、チンギス・ハーンが急死し、モンゴルの侵略は一時的に停止するが、郭靖と黄龍はすでにモンゴルの征服により無数の民間人の死を見ていた。