“彼らは大きくなると、自分たちが入っていた殻を離れてしまうんです。そして、残してきた殻を……小さいカニが見つけて、そのカニの住処にするんです。”
12歳のレイボーイは、もうすぐ故郷のカリハタグ村を出て、都会の学校に通うことになる。彼は海が好きだ。いつも波の音が耳に届き、目の前に広がる広い水平線を眺める。彼の家族が暮らす小さなコミュニティは、貧困、乱獲、農村からの移住といった問題にストイックに耐えている。レイボーイの旅立ちを前に、両親は別れを告げることで、彼がより良い未来を手に入れる機会を与えたいと願っている。この間、ベニス・アティエンサはレイボーイに付き添い、一緒に幼少期の場所に入り込んでいく。星や海のリズムを観察し、雲のイメージを読み解き、止まっている時間を体験する。言葉とイメージの叙情的な構成は、レイボーイの視点に深い光を投げかけている。
(出典:ベルリン国際映画祭)