ラ・オン・ダオ

コラコット・ベンジャロン氏は、父であるクライ・ベンジャロン博士の訃報を聞いてすぐにアメリカから帰国した。タイに到着した初日、一家の弁護士であるオーサワティー卿から、父親が作成した遺言のことを聞かされた。その遺言には、クライ博士の養女として生まれたラオン・ダオと結婚した場合にのみ、父の全財産を手に入れるという条件が書かれていた。しかし、コラコットは幼い頃からアメリカに留学させられ、ラオン・ダオはフランスの寄宿学校に通わされていたので、それまで一度も会ったことがなかった。ラオン・ダオさんについて、コラコットさんが覚えているのは、「ぽっちゃりした不機嫌な女の子」ということだけだった。それが今では、凛とした美しい女性に成長していたのだから驚きである。