ドングは、友人であり同僚でもあるジチョルの死を悼むことなく、社長の強要でジチョルの家に行き、社員証を見つけなければならない。ジチョルを死に追いやったかもしれない会社は、ドングを最後まで極限状態に追い込む。本作は、個人が職場で経験する存在論の危機を扱い、資本主義体制のもとで社会人同士の理解や連帯が失われつつある現在の韓国社会を丁寧に考察している。特に、組織の一員としての社会的地位と個人的な友情の間で苦しみ、葛藤する新社会人の姿を繊細にとらえている。これによって、集団内の連帯感が崩壊し、個人の価値観が失われていく現代社会の苦い側面が再現されている。