いい人 (2021)

本作を観た後、『善人』というタイトルは倫理的な存在を示すものではなく、むしろ善人とは何か、どのように作られるのかを問うているように思える。慈悲深い教師として知られるギョンソクのクラスで盗難事件が発生する。その状況下でセイクは犯人として訴えられるが、必死に冤罪だと主張する。その夜、一緒に登校していたギョンソクの娘が行方不明になり、突然、セイクが自分の仕業であるかのように姿を現す。しかし、そこには、二人のどちらが善でどちらが悪なのか、という問いを投げかける別の展開が待っていた。このモヤモヤした問いを、構成されたストーリー展開と細やかな心情描写で投げかけているのが『善人』である。