杉原は、在日コリアンの父と日本人の母を持つ問題児だ。父・秀吉はかつて北朝鮮でプロボクサーとして活躍し、幼い頃から杉原を鍛えてきた。北朝鮮が好むマルクス主義に基づいた残酷なほど厳しい中学を卒業した杉原は、日本の普通の高校に転校することを決意する。転校先では、毎日のように男子生徒からケンカを挑まれるが、パーティーで出会った謎の少女・桜井に一目惚れしたことで、杉原の生活は一変する。人付き合いの悪い杉原だが、彼女への好意は伝わっているように見える。しかし、自分の民族的背景を話すと、せっかく芽生えた二人の関係が壊れてしまうのではないかと心配になる。そんな杉原に、朝鮮学校時代の旧友から電話がかかってくる。その内容は、桜井との関係に重大な影響を及ぼすものだった。