アイドル歌手のファンとしてテレビ番組に出演した10代の少女は、自分のアイドルが同じ番組に出演していたことから「成功したファン」と自称する。数年後、同じアイドル歌手が集団強姦とセックステープの違法撮影・配布の容疑で逮捕される。突然、犯罪者のファンになってしまったソンドクは、怒りと悲しみで混乱しながらも、犯罪者である歌手のファンたちと会うことを決意するのだが……。ファナティック』は、オ・セヨン監督自身の恥ずかしい過去から始まる。その様子は滑稽でありながら、笑えない。愛したからこそ、より苦しむ」自分と同じ境遇のファンたちと出会い、やがてソウル駅前で朴槿恵元大統領の釈放を求める極右の太極旗集会参加者たちに辿り着く。恥ずかしくなるほど直接的で、痛烈で、率直に内省的なこのドキュメンタリーは、冒涜的な表現に満ちているが、なによりも巧みである。
(出典: BIFF)