どちらを選んだのかはわからないが、どちらかを選んだことははっきりしている

この物語は、母と息子が直面する人生の様々な可能性を描いたものです。ある目的を持って、小さな田舎町の駅に到着した二人。目的地へ向かう途中、親子はさまざまな選択を迫られる。些細な選択もあれば、2人にとって非常に重要な選択もある。
しかし、観客は親子がどんな選択をしたのか知ることはない。母子がどちらかの選択肢を選んだと解釈できるような表現で物語は進んでいく。そのため、本作では観客に選択肢だけを提示し、選択肢の数だけ可能性がある状態で物語を進行させることができる。
このように、「明確でありながら不確かな理解」は、不安を煽るストーリーや音楽の力に頼ることなく、観客の心を揺さぶる新しいタイプのサスペンスを作り出している。
多くの可能性を秘めながら、決して解決されることなく物語が進行していくこの表現形式は、本作のテーマ展開に大きな効果を発揮するとともに、表現方法そのものが映画を作り出すという、大胆で新しい映画作りの方法を確立しているのです。
(出典: JFDB)