“飲んでから24時間後に死亡する、まったく検出されない毒薬”ネット上で広まった、完全犯罪を可能にする致死性薬物の噂である。笹本直美が異動してきた警視庁特殊犯捜査係でも話題になっている。この毒薬を東欧の大学で発明した松井東一教授の経歴は曖昧である。知っているのはネット上のあやふやな写真と、手の甲に刻まれた数字だけだ。消息を絶った松井は、悩みを抱えた人々の前に姿を現し、毒を手渡すようになる。”自由に使っていいんだよ “と彼は言うのだった。一方、社長令嬢の小出玲可と婚約中の雑誌記者・秋元俊二も、この毒の存在を知ることになる。彼には問題がある。半年前から交際している高校の同級生、大津真弓の存在である。彼女は、麗華との結婚の障害になる。そこで別れを切り出そうとするが、彼女が妊娠2カ月であることを告げられる。困り果てた秋元は、帰り道、松井に呼び止められ、毒薬の入った小瓶を渡される。その後、秋元は麗華の父親に高級料亭での食事に誘われ、麗華との結婚を誓わされる。秋元は苦悩しながらも、自分の明るい未来を守るために、真弓のコップに毒を一滴たらす。真弓は何の疑いもなくその杯を口にする…。事件から2日後の朝、彼女の死体が思いがけない場所で発見される。
~~ 1981年、赤川次郎の小説「どく」を映画化。