1994年夏、長野県の地方都市・松本で平凡に暮らす中年サラリーマン・神部利夫は、ある朝目覚めると、この10年で最大の大量殺人事件の第一容疑者であることを知る。何者かが放った毒ガスにより、自宅マンションとその近所で7人が死亡、600人近くが体調を崩したのだ。
神部とその妻は被害者であったが、警察はすぐに神部を犯人と決めつける。マスコミは、地元警察の情報をもとに、神部の所持していた農薬がガス雲を発生させるために混ぜられたもので、神部はその調合人である可能性が高いと報道したのである。
しかし、神部は瀕死の重傷から回復し、言葉を発することができるようになったとき、すべてを否定した。しかし警察は、ベテラン刑事の吉田を中心に、神部に自白を迫っていく。松本サリン事件で無実の人間がメディアによって裁かれた実話をもとにした映画。