人の人生とは、なんと複雑で矛盾に満ちたものなのだろう。ドキュメンタリー映画『慰安婦』が描く金秀洛の人生もまた然り。日本帝国軍によって「慰安婦」にされ、悲惨な人生を歩んできたキム・スナクさん。解放後は、生きるために売春宿で暮らし、米軍キャンプタウンで性風俗業を営み、米軍の物品を売り歩いていたという。全州国際映画祭と深い関わりを持つエマニュエル・ムンチル監督は、登場人物の人生を美化して語るのではなく、ありのままの絵の記録で見せてくれる。キム・スナクの証言を地元の方言で読み上げたり、アニメーションや記録映像など様々なメディアを駆使した繊細な演出が光る作品。
(出典:JIFF)