ボルオミ (2019)

マレーシアの共産党は、独立のためにジャングルで数十年にわたる武装闘争を展開した。戦時中に生まれた赤ん坊たちは、生き残るためにジャングルの外に送り出された。ボルオミはその赤ん坊の一人、イーファンの父親であり、本作の主人公でもある。台湾系マレーシア人の父子は、互いの秘密と過去の痛みを心の奥底に埋めたまま、恨みながら生きている。父とマレーシアでの人種差別や不公平に怒ったイーファンは、祖父母の国である台湾へ旅立つ。高雄でフィリピンから不法入国したライラと出会う。祖先の国でもよそ者扱いされていたイーファンは、ライラに共感し、親しみを覚えていく。マレーシアの陰鬱な歴史と、見知らぬ土地で言葉の壁を感じながらも互いを思いやる若い二人の姿に胸が熱くなる。