その時、外界からやってきた三木郎が外子を捕らえる。二人の出会いは、暴力的なまでのエロティシズムをもたらし、篤也とその腐敗の網にかかった彼女の毒々しい結婚を引き裂く危険をはらんでいる。しかし、中川夏紀は、この寓話的な前提を、死んだようにリアルに描き、外子を、ファム・ファタルの典型に挑戦する力強いキャラクターとして、最後の最後まで、最も近くにいる人を理解できないもどかしさを生きる姿を見せてくれる。月夜の森で繰り返されるシーンで構成されたこの作品は、物理的な現実の不気味な表面を突き破り、人間の内なる欲望の混乱にアクセスすることができます。
(出典:ジャパンカッツ)