孔雀

浅野は、沖縄で育った少年時代の心地よさを探している。彼にとって、物や行動は様々な意味を持ち、その多くは数字と結びついている。ある時は「27人の警官」、ある時は「道路上の箱」、そしてその間にあるもの全て。浅野は、その心の動きから、話し言葉で自分を表現することは難しいが、心を許した相手には、感情的に触れることができる。安住の地を求めて旅を続けていた浅野は、香港のダイブバーに辿り着く。そこで彼は、幼い頃の夢を思い出し、派手で率直なゲイのオーストラリア人、速く、美しく、いつも無造作に生きているケヴィンと知り合いになる。そして、彼らの後始末をする、地味で天使のようなファッションデザイナー、メイビス。バーの中でも外でも、3人の関係は否応なく愛おしく、豊かなものになっていく。