ピアノ調律師の太田は、最愛の妻を亡くし、いまだ喪に服している。しかし、妻が遺灰を撒いてほしいと望んだ浜辺を見つけることができない。友人の小島の骨董屋を手伝っていた太田は、不思議な魅力を持つ女性人形アリアを持つ腹話術師の老クゾウと、その弟子である千住と出会う。しかし、ショーの最中に老人は倒れてしまう。病院で太田に、昔、質屋に売ったピアノを探してほしいと頼み、息を引き取る。太田と千住は、たとえ九蔵がもうピアノを楽しめなくなったとしても、師匠の記憶を受け継ぐために、そして、半分語った過去を理解するための最後の試みとして、ピアノを探すことを決意する。
出発の直前、骨董品屋にマスターの娘と名乗る謎めいた美しい女性が入ってくる。彼女はピアノを探す旅に参加したいと言う。
3人は長い間忘れられていたピアノを探しに出発する。彼らは、マスターの過去、そして彼らの記憶をたどり、未来へと向かう旅に導いてくれる、数々の珍しい人物に出会うことになるのだ。